文化財保存修復 研究施設完成

水中考古学はその遺跡の立地状態から考えて、保存処理とは深い関係を持っています。保存処理なくして水中考古学発掘はありえません。PEG保存処理槽や真空凍結乾燥機は水中遺物の保存に必要。保存処理を学ぶ学生が水中遺跡にも興味をもっていただければ幸いです。この新しいセンターの皆さんの今後の活躍を期待しています。

山形新聞から

文化財保存修復へ最新設備導入-芸工大に研究施設完成

山形市の東北芸術工科大文化財保存修復研究センター(松田泰典センター長)が建設を進めていた新しい研究施設が完成した。文化財保存修復を専門とする東日本唯一の研究拠点で、国内最新鋭の設備や機材を導入。研究水準の高度化、若手研究者の育成を目指す。

 同センターは、芸工大の付属機関として2001年に設立。これまで68件の受託事業を行っている。05年度から5年間、文部科学省の「オープン・リサーチ・センター整備事業」の認定を受けた。「地域文化遺産の循環型保存・活用システムの総合的研究」をテーマに、県内をはじめ東北各地の文化財を守る拠点として、本格的な活動を進める。5年間の総事業費は約8億7000万円。

 完成した研究施設は、キャンパス南側の体育館に隣接している。4階建てで総床面積は約2300平方メートル。1階には遺物処理室、エックス線撮影室などを設けた。2階には温度と湿度を一定に保つ収蔵庫、3階には絵画修復室、立体修復室がある。4階は展示室で、修復が終了した作品や修復作業の過程をパネルで紹介する。

 設備面では、新たに水害などで腐った木材を再生する「PEG保存処理槽」、水を吸った書類を保存処理する「真空凍結乾燥機」を導入。いずれも関東以北では最大。長さ5メートルの木材も修復可能。

 赤外線を反射させて大型の文化財の構造を調べる「屋外用3次元計測装置」も導入した。建造物のほか、遺跡を丸ごと計測することもできる。

 施設内部は定期的に一般公開するほか、住民参加のイベントなども企画する予定。松田センター長は「災害などで損壊の恐れのある文化財がたくさんある。地域の文化遺産を守るため、行政とも連携しながら研究を進めたい」と話している。

引用元:http://yamagata-np.jp/kiji/200605/10/news04793.html

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