2006年そして来年は?

この時期は毎年その一年を振り返るのが慣わしのようですね。そこで、2006年の水中(海洋)考古学を振り返ってみたいと思います。最初はトップ3ニュースから。

第1位はなんといってもイランで沈没船発見、そして国の事業として水中考古学研究所を立ち上げる計画がでたことでしょう!日本もイランには負けてはいられない状態になってきているのでは?

第2位は中国の動きが活発になったことではないでしょうか?南海1号の引き上げ計画、そして新しい博物館の工事が進んでいます。蓬莱船(山東省)で韓国の船も含め沈没船が複数発掘されています。また、雲南省の湖で発見された石造構造物なども。

第3位は候補はいろいろありましたが、個人的には日本の情勢をまとめてひとつのニュースとしてみました。ことし始めの世界考古学会議では水中考古学関連の論文発表やポスターがありました。夏には京都で第1回海洋考古学セミナー、その他東京海洋大学が積極的に水中考古学に取り組み、実際にクラスなどが組まれていることなど。今後調査報告がなされるであろう長崎県小値賀での調査、千葉県でのサンフランシスコ号、その他太平洋を渡った古伊万里焼きなどありました。また、田辺昭三先生が亡くなられたことは悲しいニュースのひとつですが、日本水中考古学の新たな転機を示しているのではないでしょうか?

ウッズホールで開発されギリシャで試されたAUVなどはありましたが…エジプトでローマ時代の水没した町が発見されるなども。アメリカで調査が進んでいる海賊黒ひげの沈没船の調査などなど。このようなニュースは今でも良く聞きますが、ここ数年は今まで地中海が中心だった新発見がどんどん世界各地に広がっていることです。地中海で発達した学問ですが、今では世界のどこでも調査が行われるようになったのは良いことだと思います。

特に今年の第1位のようなイランでの発見、そしてカンボジアでの沈没船の発見やマヤのカヌーなどもあります。インドでも水没した神殿跡などの発見がありました。中国もそうですが、韓国も今年は新案沈没船30周年を記念して調査専用船の開発なども行っています。インドネシアなどの東南アジアはとレジャーハンターによる盗掘が続いていますが個人的に得た情報ではやはりこのような状況ではいけないと各国でいろいろな人が気がついているようです。

2005年に2006年の予想をしましたが、UNESCOの法案についてはあまりニュースになるような動きはありませんでしたが、確実に感じられます。「中国から目が離せない」と書きましたが、大体当たってますね。水中考古学が日本でも多少認知されつつありますが、2006年はどちらかといえば下準備が進められた年ではないでしょうか?私自身、この年は考古学、海洋学、海事史などさまざまな分野の先生方と交流を深めました。このサイトのアクセス数も倍ほどに増えてきており、確実に進歩しています。

そこで、2007年の予想ですが… 最初は日本の場合。幾つかそれなりに話題になる話しが出ることは確実です。和歌山県のトルコ船の事前調査、水中考古学ジャーナルの第2号も1月には刊行されます。また、第2回海洋考古学セミナーも力を入れたいプロジェクトです。その他、太平洋戦争の海底遺産のニュースもあるかもしれません。

2007年海外の話題は、中国はもちろん、イランやインド、そしてアフリカ、特に東海岸で何かあるのではないかと睨んでいます。地中海やアメリカでは遺跡の現状維持について、そしてUNESCOの水中文化遺産保護にももっと活発に討論が行われるのではないでしょうか?AUVなどは確実に新しい技術が進歩していますし、遺跡を発掘しなくてもさまざまな情報が読み取れる時代に向けた取り組みが始まるのではないでしょうか?

来年中にはこのサイトへのアクセスが1ヶ月平均1万人のユーザーを超えると思います。サイトをごらんの皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。また、このほかにもネットを中心に水中考古学の宣伝を行っていく計画も進行中です。2007年も良い年でありますように。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

トップに戻る