クフ王の「太陽の船」 保存状態の悪化が深刻

「太陽の船」として知られる、古代エジプト古王国時代のクフ王(2589 – 2566 BC)の船の保存状態の悪化が進行し、再度保存処理が必要であると、the International Conference on Heritage of the Naqada and Qus region, Egypt 2007の議長、ハニ・ハンナ氏が報告しています。クフ王の船は、1954年にエジプトのギザにあるクフ王のピラミッドの側のピットから発見され、ピラミッドの横に建てられた博物館に保管されています。全長43.63m、幅5.66mと大きく、世界最古の木造船の一つです。ハンナ氏によると、温度、湿度、光による劣化に加え、虫やカビによる悪化が進行しているようです。また、ひどいことに、博物館の内側をペンキで塗った際に付着したと思われるペンキの痕も船に見られるとのことです。

1200個以上の部品に分解された状態で発見されたクフ王の船ですが、構造は大変複雑で、ほぞと縄を使って巧みに組み上げられています。工法についてはSteffy先生のWooden Ship Building and the Interpretation of Shipwrecksに詳しく書いてあります。また、クフ王の「太陽の船」は1987年に早稲田大学ピラミッド調査隊によってもう一隻発見されており、現在、発掘、復元に向けての研究が進められているようです。早稲田大学のクフ王第二の船調査プロジェクトによると、1隻目の船に関しても再検討を行い、部材に記載されたヒエラティック文字に着目し、現在の復元像とは異なる復元像に到達したと報告しています。

近い将来、第二の「太陽の船」も発掘されると思いますが、4500年という長い年月を経た貴重な遺物を数十年足らずで破壊してしまわないように、保存処理や保存環境をしっかりと整えていく必要がありますね。

クフ王第二の船調査プロジェクト
古代エジプトクフ王ピラミッド「第2の船」の保存修復に関する研究

引用元:http://weekly.ahram.org.eg/2007/834/he1.htm

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