放射性廃棄物とローマ時代の沈没船

以前に放射性棄物の保管・安全性の確認に沈没船が使われる理由の記事で、アメリカなどの研究者が中心となり、ローマ時代の沈没船から発見されたガラスを研究していることをお知らせしました。これは、考古学の研究ではなく、ガラスの耐久性を調べて、廃棄された放射能物質の保管に本当に適しているかを調べる研究です。ガラスは少しずつ劣化していくので、現在のガラスが本当に何千年も危険な物質の保管に適しているのかを調べる方法はなく、あくまで、推測することしかできません。しかし、実際に古代のガラスでしたら自然環境の中でどのように変化したか判るわけですから、より現実的な「実験」といえるのではないでしょうか?

さて、atom probe tomography systemという機械を使うそうですが...分子トモグラフィーとでも言いましょうか、日本語訳はまだ調べていません。ちなみに、英語版ウィキぺディアには多少システムの説明があります。簡単に説明すると、物体の構造を分子レベル(に近い)状態でみることができるという機械だそうです。CTスキャンとXRF(蛍光X線分析)を足したようなものでしょうか?

まだ研究は初期段階だそうですので、これからもっと情報が出てくればここでも紹介していきたいと思っています。今のところ、マグネシウムの層が2ナノメーターほど分離しているのが確認されたそうです。それが何を意味しているのか、ちょっとわかりませんが、ガラスの耐久性に影響するのでしょう。

このテクノロジーは考古学の研究にもどんどん使えそうですね。まだ値段は高いようです。ですが、このような研究は人々の将来(これから何千年後)の生活を守るためには重要なことだと感じます。特に、放射能に関しては「漏れない」とか「危険ではない」といわれても、千年後は大丈夫?のような質問にはなかなか答えられないでしょう。そこで、沈没船から得られた考古学遺物が役に立つのは非常に有意義なことだと思います。

なによりも、ローマ時代の沈没船から発掘されたガラスを放射線物質の管理状況のテストに使うという発想には驚きです。それだけ沈没船の研究というテーマが海外では研究者や一般の人に知られているといことも意味しています。

 

引用元:http://www.physorg.com/news/2012-03-glass-decisions-future.html

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