ニュートリノと沈没船と鉛

ちょっと難しい話になります…

鉛は科学の研究に良く使われるそうです…特に放射線を使用した計測とかニュートリノの研究などなどなど。鉛には同位体が幾つかあるようですが、半減期も短く、数百年で完全に安定するそうです。Wikipediaによると、…鉛が全元素中で最も質量数の大きい安定同位体を持つ元素として挙げられ、鉛の同位体の1つである208Pbが、最も質量数の多い安定同位体…であるらしい。まあ、何か放射線などの計測中に同位体の崩壊がないので安定した測定結果を得られるということなのでしょう。詳しくはちょっと専門外なので調べていません。

自然界で発見される鉛には多くの同位体が含まれており、安定していませんが、一度加工され時間が経った同位体は崩壊していきます。…例えばPb210は半減期が22年だそうです。ですので、数百年もすれば、ほぼ完全に安定します。実験には加工した鉛を使いますが、より古い加工された鉛のほうが安定していることになりますね?

ローマ時代(2000年ほどまえ)の鉛となると、実験に使うには完璧に安定した鉛となっているそうです。しかし、そんな古い時代の鉛をどうやって見つけてくるのか…と、ここで沈没船の登場です。地中海には鉛のインゴットや鉛を重しとしてつかったアンカーなど水中から頻繁に発見されます。ローマ人は鉛をよく使っていようです。

当然、科学者は鉛を実験に使いたいわけですが、考古学価値のあるものを使用して良いのか?なかなか面白い議論が話題となっているようです。考古学的立場からすると認可できないことです。しかし、鉛を積んだローマ時代の沈没船は数千隻ありますし、実際に考古学調査された船もたくさんあります。多少の供給はできるのでしょうが、歴史価値のあるものを利用してよいのか…(身近な例に例えると、三角縁神獣鏡を溶かしてダークマターの解明に役立てることができたら日本の考古学者はどう動くか?)

 

いくつか同じことに関してのニュースがあるので、興味のある方はぜひ。

http://gizmodo.com/should-we-mine-ancient-shipwrecks-to-push-science-into-1474900582

http://www.heritagedaily.com/2013/11/controversy-over-the-use-of-roman-ingots-to-investigate-dark-matter-and-neutrinos/100315

http://www.upi.com/Science_News/2013/11/29/Use-of-ancient-lead-in-modern-physics-experiments-ignites-debate/UPI-10401385765979/

http://www.pasthorizonspr.com/index.php/archives/12/2013/researchers-call-for-debate-on-underwater-cultural-heritage

引用元:http://www.nature.com/news/2010/100415/full/news.2010.186.html

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