インドの海事文化戦略 Project Mausam

中国はここ最近海洋政策を打ち出して積極的に南シナ海やインド洋にも影響力を伸ばしてきています。これは、海洋資源の獲得だけでなく様々な要因(主に経済的ですが…)を含んでいます。中国は明の時代の海洋政策(鄭和の大航海)の歴史を持ち出し、過去においてインド洋(アフリカ東海岸)との繋がりがあったことや、平和的(?)な交友を強調しています。数百年前の中国の海洋文化を再発見し、現代の社会にそれをオーバーラップさせて中国の影響力を様々な地域で広めています。

中国の海洋政策は歴史や文化のリバイバルも含めた一つのおおきな動きとして捉えることが出来ます。過去の中国の海洋国家の歴史を現代にも再現しようというものです。実際に、ケニアの水中考古学チームと合同研究を行っています。そして、インドやスリランカにも文化・経済的な影響力を強めようとしています。

さて、この現状でインドが中国に「対抗」する手を打ち出しつつあるようです…インドも過去の海事国家としての栄光の歴史を呼び戻して、現在の制作に意義を与える動きがあるようです。それがプロジェクト・マウサム(Project Mausam)このプロジェクトの目的ですが、考古・歴史資料からインド洋の海事史を再発見することにあります。また、スリランカ、アフリカ海岸、アラブ諸国、東南アジアとのつながりを重視し、海を介して共有する文化を学ぶことにあり、学際・国際研究を通して広く一般にも地域の海事文化を知ってもらうことにあるようです。

このプロジェクトでは海事歴史景観のコンセプトやUNESCOなどとも協力をしながら様々な研究を行っていく模様です。プロジェクトのゴールは1)過去に存在した地域の共有の海事・海洋文化を再発見し、それをこれからのあたらしい国際関係の考え方にも反映していくこと。2)一見すると個別に見える各地に存在する文化遺産であるが、過去においては文化的な繋がりが存在していたことを確認すること。3)海事・歴史景観を再確認し、広く共有する文化を確認し、現在の国家や民族の在り方を考え、今後の国際関係の安定した発展に寄与する。4)インド洋全体で海事を中心とした世界文化遺産の考え方を生み出し、観光や文化遺産の保護に役立てる…とあります。

もちろん、水中・海事考古学がこの国家文化プロモーションプロジェクトに関わってくることは間違いないと思います。詳細はまだわかりませんが、ここ10年のインド・スリランカの水中考古学の発展を見ると納得がいく政府の動きであるように見えます。中国・インドと国が海事文化の理解を示し、経済発展や国家同士の友好のプロモーションとして打ち立ています。世界的に見ても、海事文化が見直され、海事博物館が建設されたり、水中(海事)考古学が重要視されてきています。UNESCO水中文化遺産保護条約も50か国が承認しています。そのようななか、日本はどうでしょうか?

もしかして、中国と対立と思うかもしれませんが…?水中考古学が国家戦略に使われる?まあ、どちらも平和的な交友と経済発展を望んでますので、良いことでしょう。大きな成果を期待してます。

Mausam Project

こちらのニュース記事もご覧ください

 

引用元:http://ignca.nic.in/mausam_objectives.htm

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

トップに戻る