考古学・環境・生物学~文理の枠は存在しない

さて、この写真を見て、「考古学者が沈没船の発掘調査をしているところだ!」と思った人…半分正解です!

 

さて、なぜ半分? 実は、「生物学者が沈没船に住むバクテリアなどを調査している」ところなんです。

 

ニュース記事は、こちら

https://www.popsci.com/story/science/shipwreck-bacteria/

沈没船は、漁礁となり様々な生物の住処となることはよく知られた事実。そこは、ひとつの独立した生態系を形成することもあり、近年では、海洋生物学のフィールドとしても沈没船を取り上げる研究者が増えています。このニュースは、そんな調査の一つ。

 

沈没船にはどのような種類の微生物が住んでいるのか、また、その微生物が沈没船・生態系・周りの環境にどのような影響を及ぼしているのか...。

沈没船から集めたバクテリア…。考古学の枠を超えてますね…

 

一部抜粋
She and her team also identified bacteria that can help preserve the sunken ship by coating its metal surfaces in a biofilm layer that protects it from corrosion. Also present were bacteria that break down petroleum compounds, indicating that a fuel tank may have leaked its contents into the nearby waters at one point. Others, including the newly discovered strain of M. ferrooxydans, convert nutrients such as carbon and nitrogen into forms that other organisms can use. “We know that they’re doing more than just causing corrosion,” Field says.

様々な種類のバクテリアが沈没船に住み着いているようで、ひとつの船でも船首や船尾、船の内側と外側などでそれぞれコミュニティーを形成しているそうです。錆をどんどん進行させるヤツもいれば、金属の表面をコーティングして劣化を防ぐこともあるとか…。また、オイルを分解する種類の微生物もいるそうです。微妙に漏れ続けるオイルなども食料になっているのか...

船の別々の場所から、様々な微生物を集めたそうでうす。

これらの生物は、小さいながら周りの海の中で魚などが立ち寄ることが出来る重要な漁礁となっています。海洋生物の多様性、持続可能で豊かな海を形成している一つのパーツです。もちろん、歴史的価値も重要ですが、そこに長年存在したことにより環境の一部となっていることも、忘れてはいけません。

メキシコなどでその沈没船周辺でしか確認されていないサンゴなどもいたり、タイタニックのような深海の鉄船にのみ生息するバクテリアが確認されるなど、水中考古学と海洋生物学は一緒に研究することが増えてきています。また、遺跡を埋め戻して保存する際にも、周辺の環境を十分考慮して計画を進める必要があります。

 

海の遺跡は、陸の遺跡以上に様々な分野との協力関係を築く必要がありますね。文系理系などの枠を超えて「人類と海の関係」を学ぶ必要があるように思います。

 

くわしい内容は、こちら

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2020.01897/full

引用元:https://www.popsci.com/story/science/shipwreck-bacteria/

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